宮城県 石巻市、牡鹿半島で2017年9月10日まで開催中の芸術祭Reborn Art Festival 2017。
この芸術祭の特徴の一つとして「51日間、毎日どこかで音楽が鳴っているプログラム」として、どこかしらでミュージシャンによるライブパフォーマンスが行われています。
そのプログラムの一番大きなものが7月末に開催されたap bank fesな訳ですが、新しい試みの一つとして石巻・中瀬公園内特設テントで8月29、30日に開催されたポストロックオペラ「四次元の賢治 -第1幕-」です。
2019年「四次元の賢治-完結編-」開催決定!
【日程】
2019年7月13日(土)岩手県 釜石市民ホール TETTO
2019年9月22日(日)、019年9月23日(月・祝)宮城県 塩竈市杉村惇美術館
【出演】満島真之介、Salyu、コムアイ(水曜日のカンパネラ)、ヤマグチヒロコ 他
ポストロックオペラ「四次元の賢治」とは?
宮沢賢治の諸作をモチーフに、中沢新一(思想家・人類学者)がオリジナルで脚本を書き下ろし、小林武史が歌劇にしあげるという、異色かつ前代未聞の舞台作品!
宮沢賢治役のオオヤユウスケ(Polaris/SPENCER)をはじめ、Salyu、佐藤千亜妃(きのこ帝国)、桐嶋ノドカ、ナレーションに安藤裕子を起用するという「演じる者すべてがシンガー」という徹底したキャスティング。
これは、演劇でありLIVEでもあるという「post rock opera(ポストロックオペラ)」と呼ぶべき新しいフォーマットの舞台といえます。「Reborn-Art Festival 2017」の中で上演されるこの舞台は限定2日間。
post rock opera
『四次元の賢治 -第1幕-』
原案:宮沢賢治
脚本:中沢新一
音楽:小林武史
映像:伊藤存
出演:オオヤユウスケ(Polaris/SPENCER)、Salyu、佐藤千亜妃(きのこ帝国)、桐嶋ノドカ
ナレーション:安藤裕子
post rock opera 『四次元の賢治 -第1幕-』 | | Reborn-Art Festival
4人の出演者すべてがシンガーというのが一つの特徴。全3幕構成になっているうちの、第1幕が今回上演されました。
宮沢賢治役をオオヤユウスケ、賢治の妹としこ役をSalyu、蟹兄弟を佐藤千亜妃(兄)、桐嶋ノドカ(弟)の二人がつとめます。声の出演だけですが、蟹の父親役は細野晴臣が担当していました。
会場に到着
開場時間の17時30分少し前に会場となる中瀬公園内特設テントに到着。
場所的には、石ノ森萬画館の隣というのが一番わかりやすいかも。今回、この芸術祭を機に新たに建設されたテントだそうです。
テントの中に入ってみると3人掛けのベンチがずらり。おそらく座りで150人くらい、後方は立ち見スペースもあって300人くらいは収容出来る感じでしょうか。
ステージ上手には、小林さんが演奏するキーボードブース。もちろんこのサイズなので、ステージもそんなに大きいわけではありません。
この空間で見られるというだけで、東京から来てよかったなーという気持ちになりました。
前から3列目に座席を確保。開演を待ちます。
四次元の賢治 公演レポート
簡単なプロモーション映像は事前に公開されていましたが、なかなか公演概要だけではどういった内容なのかイメージできなかった今回の公演。そもそもポストロックオペラってなんやねん、って感じもありますし笑
18時過ぎに小林さんがブースに入って公演スタート。音楽の始まりとともに、安藤裕子さんによるナレーション、ステージセンターのスクリーンに映る伊藤存さんの映像、さらに両サイドにはナレーションや歌詞がテキスト表示されます。
蟹兄弟でピンと来た方もいるかと思いますが、第1幕は賢治の短編小説『やまなし』がベースになっていました。第1幕は3場構成になっていて、1,2場が川、3場が賢治の部屋でストーリーが展開します。
『やまなし』がベースなので、わかりやすく話が進むというよりは、直接的ではないニュアンスを含んだメッセージを感じながらストーリーが進んでいきます。クラムボン、かぷかぷ、金雲母などなどあの言葉たちにメロディーが乗っかっているのです。
一方で法華経の総称でもある大乗仏教経典「サッダルマ・プンダリーカ・スートラ」がコーラスで多様されて、いわゆるオペラ的なアプローチも。
楽曲は可愛らしい、柔らかいテイストになっていて、ステージ上での演者の皆さんの演技と歌。蟹兄弟はかわいらしいダンス(ステップを踏んでるくらいなライトなものですが)もありました。セリフはなく、全編歌による不思議な世界観に包まれた60分でした。その世界観を作り上げるのに伊藤存さんの映像が素晴らしく機能していました。
何かのインタビューで「目には見えない大切なもの=4次元」と小林さんが話していたのを見た気がするんですが、芸術祭の中の一作品として触れられたことでその意味をより感じられた気がします。
1公演しか観られなかったので、見落としていたり気づかなかったところもいろいろあったように思います。収録カメラが入っていたので、何かしらの形で公開されることを期待してます。
第2幕はおそらく次回の「Reboen Art Festival」で上演されることになると思うので、2年後、もしくは3年後になりそうですが、脳内にリフレインする“ぷくぷく”を大切に持っていたいと思います。
Reboen Art Festivalはいよいよこの週末で終了。クロージングイベントもいろいろあるので、一人でも多くの人に足を運んでもらえるといいなぁ。本当に一期一会な芸術祭ですよ。
『四次元の賢治』素晴らしかった!
伊藤存の映像が全てを抽象化して最高!
原案・宮沢賢治、脚本・中沢新一、音楽・小林武史、映像・伊藤存、出演者には、オオヤユウスケ(Polaris / SPENCER)、Salyu、佐藤千亜妃(きのこ帝国)、桐嶋ノドカ pic.twitter.com/y3qpmILJIK— ワタリウム美術館, WATARI-UM, (@watarium) 29 August 2017